日々が あわ


風邪をひきました。
大したことはないのですが、水っぱなと咳が出ます。
他に悪いところはないのですが、何となく病人気分です。
こんな日は、いつもの妄想力がやや落ち着いてしまい、
テンションが低くなります。
というわけで、今日の日記はノーマルにお送りします。
ビックリマーク(!←これ)は多用しない方向で。
しかし、大したネタがあるわけでもない。
ネタがなきゃ書かないでいいじゃんとか言うなよう。
だって何か書きたいんだもん。
せっかくのお休みなのに、風邪だから出かけられなくて
日記書くくらいしか楽しみないんだもん。もん。悶々。



特記事項の無いときはこれです。山下達郎レディオ風に
「棚からひと掴み」(@サンデーソングブック)
ウチの本棚CD棚謎モノ棚から適当に出してくるだけ。
ちょっと好きなものを紹介するってだけだよ。
ほんとそれだけ。大したレビューも書けないしな。
今さら私が何を語るでもないしな。悪かったな芸がなくて。
GAYでもなくて。



さあて今日のひと掴みはー



先日の日記で、原作を映像化(マンガ化)することにちょっとだけ触れたので
それに関連して。



日々の泡 (新潮文庫)

日々の泡 (新潮文庫)



はい。ボリス・ヴィアンの「日々の泡」です。
ちなみに私が持ってるのは、同じく新潮社のハードカバー版です。
高校生の頃買って、初めて読みました。
あまり本を読まない私の、数少ない愛読書。
有名な小説だから、読んだことのある人多いですねきっと。
恋愛小説、ですよね?なんというか痛々しく切ない。
主人公の恋人が、肺に睡蓮の蕾が宿る奇病にかかって死んでしまうという。
胸に睡蓮の花が咲くイメージと、恋人の名前の「クロエ」という
言葉の響きがなんとも美しくて、強烈に忘れられなくなったのを憶えています。
他にも、ピアノを弾くと曲によって色々なカクテルを作るカクテル製造機やら
心臓を取り出して相手を殺す道具の「心臓抜き」やら
恋人の2人を包んで一緒に動き回る雲やら、なんだかすごいものが
たくさん出てくる。
小説全体がシュールなイメージで溢れかえっています。
物語は、主人公のコランと恋人のクロエの恋愛が中心で
2人の出会いから幸福な時間を経て、やがて終末に向かっていきます。
彼女が病に冒された所から、2人とそれを取り巻く全てが
少しずつ変わって行ってしまう様が悲しい。
とてもきれいで切ない、大好きな小説です。



いいけど、この小説読むとどうしても友達の男の子を思い出してしまいます。
主人公が彼っぽいんだ。あまりいい気はしないだろうから誰とは言わないよ。



で、それを岡崎京子氏がマンガにしたのがコレ。

うたかたの日々

うたかたの日々


95年に雑誌連載してた作品だと知ってどびっくり。
うわーとても10年前のマンガとは思えん。最近のだと思ってた。
最初は、岡崎京子の絵でこの物語を読むことに
違和感アリアリだったんですが、慣れてしまったら
逆にものすごくピッタリな気がしてきた。
今じゃもう、クロエのビジュアルをイメージしようとすると
最初にこのマンガのクロエが出てきてしまうまでに。
小説の刹那的というか痛々しい感じと、岡崎京子マンガの痛々しさが
(私は何となく痛々しさを感じることがあるのです。何となく。勝手に。)
不思議と合っているような気がするよ。
このマンガは、わりと小説のイメージとか文で描写されているものを
忠実に描いているようです。
でも忠実につったって、100人が読んだら100通りの想像があるわけだから
忠実もなにもないよなあ。
あ、忠実と感じるってことは私のイメージに近いってことなのかしら?
なんだかオサレ。でも暗い。そんな印象。



ほんでもって、割と最近の日本映画。

ああまたやったよ著作権侵害
だってリンク検索したら、ないんだもん…。


利重剛監督の映画「クロエ」です。
主人公の高太郎(コラン)役は永瀬正敏、クロエはともさかりえ
他、松田美由紀塚本晋也小西真奈美西島秀俊などなど。
主人公の高太郎という名前に、ふと智恵子抄高村光太郎を思い出した。
まあ、関係ないのでしょうけれど。


これもとても好きな映画です。公開時、たまたま東京にいて
暇があったのでなんとなく観たのですが、いやあこれが良かった。
「日々の泡」の映画化なのですが、もちろんかなり翻案してあります。
翻案はしてあるのですが、きちんと本筋は辿ります。
小説のシュールな状況やモノを、とても上手に現実の日本に置き換えて
なおかつその美しさや現実離れした空気感を損なっていないと思います。
特に、初めての2人のデートの場面が好き。
原作では、甘い匂いのする暖かい雲が2人を包んでデートの間中
くっついて回るんです。まさに2人の世界ってな感じで。
「クロエ」では、どしゃぶりの雨の中、屋外の待ち合わせ場所に
高太郎が濡れながら走って来て彼女を探すのですが、いない。
「んあーもー!!」みたいな感じになっていると、すぐそばの
建物のかげで雨宿りをしながら待っている彼女を見つける。
で、そこで一緒に雨宿りをする、という。
原作とはまた違った繊細さ。2人の幸せな時間とエピソードが
大切に大切に語られます。一つ一つのシーンが
本当に美しいと思います。とても繊細で切ない映画。
ここでのクロエは、原作よりもなおはかなげな印象。
そこにいるのに実はいないような、今にもどっかに飛んでっちゃいそうな。
そんなクロエをともさかりえ好演。実は「少女ロボット」持ってます私。イエー。
高太郎も、原作よりもよ不器用でまっすぐなイイ人になってます。
永瀬正敏イイです。私は、テンション高くアクションこなす永瀬さんより
どっちかてーとこういう、繊細で翻弄されまくるいい人永瀬さんが好きです。
ラスト、タバコ吸って泣くシーンがいいです。胸苦しくなる。


この映画、お勧めですよ。たぶん、最低でも金返せとは思わないはず。
好きな映画でも、繰り返し観てしまうものとそうでないものがありますが
これは何度も観てしまいます。ツタヤでかなりリピートレンタルしました。
もういっそ買った方がいいかもしれない。




映画に関しては、'68年にフランスで作られたものもあるそうですが
こちらは観ていません。こちらは原作のシュールなイメージを
そのまま可愛くポップ(?)に映像化したもののようです。
なんか、ちょっと前のオサレな女の子たちが喜びそうな感じ。



こんな感じです。どんな感じだよ。
長い!長いよ今日の日記!ていうか日記じゃないよ!
こういうの書いてると特に思う。
文才がぁーほーしーいー