All is full of love Your doors are all shut


怒濤の氣祭りが落ち着き、やっと他のネタを落ち着いて書くことが出来る。
前々から欲しかったDVDをやっと手に入れたんだよ。



DIRECTORS LABEL クリス・カニンガム BEST SELECTION [DVD]

DIRECTORS LABEL クリス・カニンガム BEST SELECTION [DVD]


全く違う時期に、全く違う所で見て、ああいいなあ好きだなあと思ったり
なんじゃこりゃーーー!と度胆を抜かれて忘れられなくなったりした
映像や文章が、後で調べてみると実は全て同じ作者の手になるものだった
なんてことはわりと良くあるのではないかと思います。
私の場合はこの人、クリス・カニンガムでした。



とても有名なクリエイターさんなので、今さら私が何を語るでもないのですが。
ぶっちゃけ私、よく知らないし芸術なんてわかんないもん。
好きか嫌いかでしか区別できねえよ!アートって何かね!?
好き嫌い以上のことなんて語れねえよ!(じゃあ語るなよ)(すいません)
なんていうか、彼の作る映像は変質的というか、変態ぽいというか
エロかったり暴力的?だったり、そうでないものでも
うっかり子供が目にしちゃったらトラウマになるなコレ、という印象。
家族みんながお茶の間に集まって鑑賞するのは無理無理!!!なものが多い。
映像が、脳味噌のそこは入っちゃいけないだろって部分を直撃してきます。
私がうっかり犯罪を犯したら、証拠物件としてこのDVDは押収される気がする。
(作者に失礼)



初めて見たのは、マドンナの「Frozen」のビデオでした。
砂漠で黒いドレスを着て踊るマドンナが美しいです。
魔術的というのかなぁ。青と黒だけの色調の中、踊るマドンナが
黒い犬に変わったり鳥に変わったり。
作者本人さんはいろいろ不満があって気に入っていないようですが。



次に見たのはビョークの「All Is Full Of Love」。
ビョークのビデオは、カックイイ仕事をする映像作家さんたちが
気合い入れて作ってるらしく、どれもほんとに見ごたえあります。
その中でも、私の一番のお気に入りがコレです。曲が大好きってのもありますが。
このDVDのジャケットにもなってますね。
真っ白で無機質な部屋で、同じく真っ白なビョークの顔した
アンドロイドがもう一体のビョーク顔アンドロイドに出会い、
非常になまめかしいキスを交わす、というような流れ。
全体が真っ白。表面が硬質のアンドロイドなのに、その造型もあって
ものすごく肉感的かつ色っぽく見えてきます。
半端なく美しいビデオです。ああ全ては愛で満ちているんですね。
でもやっぱり、敢えて一人だけの時に観てしまう。なんとなく。



そして、夜中に放送されてるのを見て、何じゃこりゃー!と
松田優作ばりに叫んだのがコレ。
Aphex Twin の「Come To Daddy」と「Windowlicker」。
感想がもう、「何じゃこりゃー」しか思い付かなかった。
ききき気持ち悪いよ…どっちも!
体調悪いときには見ちゃいけませんねどっちも!
でも、確実にヒトの脳髄に突き刺さって忘れられなくなる映像です。
少なくとも私には突き刺さった。
セイレーン・ソレントのデッドエンドシンフォニーみたいな殺傷力。
まずは「Come To Daddy」。
全体的に青い、陰鬱な雰囲気。
廃虚のようなビルに、デカイ犬をつれたおばあさんが通りかかると。
おっさんの顔した子供の群れが!!!
ひいいい。
全員、この音楽のアーティストの顔なんですよ。
おんなじオッサンの顔。で、体は子供。
こええええええ。
しかも、後でブックレット読んだらこの子供役の大半は
本物の子供ではなく小さい大人なんだそうです。
だから腕毛があるんだそうです。そこがクリスさんは
気に入っているんだそうです。
余計にこええええええ。ああトラウマ映像。


そして「windowlicker」
オッサン2人がボインのねえちゃんをナンパしようとしてると
アホみたいに長いリムジンでアーティスト登場。この長さにまずひと笑い。
車を降りて、マイケル寂噂みたいなダンス。もうひと笑い。
すると、「あらステキじゃなーいアッハーン」みたいに観ていた
ボインのねえちゃんたちの顔が!!変わった!!
またオッサンの顔に!またかーーーー!!気持ち悪い!!
ボインボインのセクシーバディにオッサンの顔がついてるだけで
こんなに気持ち悪いなんて。
リムジンの中で、アーティストとねえちゃん2人がいちゃこいてます。
おんなじ顔がみっついちゃこいてます。ひいいい。
やがて車を降りたアーティスト、そこには、
おんなじオッサンの顔したボインボインねえちゃんの群れが!
ボインボインと踊るオッサンねえちゃんとオッサン。
しかも変にカッコイイ。圧倒的なアホらしさ。
ああまたもやトラウマ映像。エンドロールまでついとる…
いやークリスさんの頭の中をのぞいてみたい。帰ってこれなくなりそう。



このDVDで初めて観たものも、見ごたえ充分。
レフトフィールド・フィーチャリング・アフリカ・バンバータ
「Afrika Shox」もトラウマ映像の部類。
ゲッソリ痩せた男がニューヨークの街をフラフラ彷徨ってる。
が、彷徨ううちに、彼の四肢が一つずつ壊れてなくなっていく。
脚一本だけで彷徨ううち、最終的には車が激突して全て破壊。
なんつー話だ…。いやあ、好きだ。
男の姿だけでなく、街そのものが恐ろしく見えてきます。



他にも、たくさん彼の変態的で気持ち悪くてカッコ良くて美しい映像作品が
収録されていて、とってもお得に楽しめました。
去年、ディレクターズ・レーベルから出た映像作家の作品集3本のうちの
ひとつなのですが、同時にでた
ミシェル・ゴンドリーのとスパイク・ジョーンズのも
観てみたいなあ。買うのはクリスさんのだけでいいけど。
3人とも、ビョークの代表的ビデオを作った監督さんつながり。
いい仕事してますね。
このレーベルからは、また新たに4人の監督さんの作品集が
発売された模様。…知らないひとばっかり…
仕方ないじゃん!良く知らないんだってば…